全ての差別の止揚と克服を

公正な社会を望んでいます

民進党の蓮舫代表が戸籍を公開すべきでない理由

蓮舫氏が自らの戸籍を公開する意思があるという報道を見て腹が立っている。
私にできる範囲で、名刺を頂いた民進党の方に電話で伝えたし、明日も民進系の地方議員へ電話するつもりである。とにかく蓮舫代表は戸籍など一部であっても公表すべきではない。特に公党の党首である立場を鑑みれば、絶対にしてはいけない。

蓮舫氏が二重国籍であるとか、国会議員にふさわしくないと糾弾しているのはほぼレイシスト、差別主義者であると考えて差し支えないだろう。そもそも選挙管理委員会に立候補を届け出て受理され、選挙され三度も議員になっているという事は、彼女は紛れもなく日本国籍を有している何よりの証拠であるし、公職選挙法には日本国籍の他に外国籍を有していたとしても、それを理由に公職となれないという文言はない。つまりもし蓮舫氏がいまだに二重国籍の状態であっても、法的には何の問題も無い。
法的な根拠なく、つまり言いがかりのように戸籍の公開が求められる社会が今の日本でありこれからの日本であるとしたら、大変おぞましいと言わざるを得ない。想像してみよう。韓国籍/朝鮮籍の家庭に生まれて日本国籍を持っている人物がいたとして、就職や結婚に際して戸籍を公開せよと求められたらどうだろうか。戸籍の公開を求める人々には何ら法的な裏付けや正当性がないにも関わらず、日本国籍であるかどうか、また他国との二重国籍でないかどうかを証明せよと要求されたらどのように感じるだろうか。まずもって不愉快だろうし、仮に日本国籍でなかったら、二重国籍だったら要求した彼らはいかに振る舞うのだろうか。結婚や雇用を取りやめるのだろうか。それは明らかな差別なのだが、戸籍の公開を要求するという事は、つまり「もしも日本人でなければ差別をするが、日本人なら差別しないので見せなさい」という、やはり露骨な差別意識が溢れ出ている。そしてもしも蓮舫氏が自らの戸籍を公にするような事があれば、それを先例として外国籍を有していそうな人々に対し、差別者達は嬉々として戸籍の公開を求め、拒否すれば非国民とみなされ差別されるだろう。現代に非国民を生まないためにも、蓮舫氏は決して戸籍を公開してはならない。
戸籍の公開を求めているのが差別者達であれば、彼らの要求に応えるのは差別者に成功体験を与える事になってしまう。差別は人を絶望させ命を奪う事も珍しくない。差別者達を増長させないためにも、彼らの要求には何一つ応じないのが最良であり唯一の選択である。
かつて民主党から出た最初の総理大臣である鳩山由紀夫氏は、外国人参政権についての討論の中で「日本列島は日本人だけの所有物じゃないんですから」と発言して物議を醸した。私も最初に聞いた時には違和感があったが、よくよく考えてみれはその通りである。国土や領土と呼ばれるものは、形式的には日本という国家が領有していると考えられている。しかし、日本という国家を構成しているのは決して日本人、日本国籍保有者だけではない。永住外国人も多く暮らしているし、一時的に滞在したり留学している外国人も多くいる。国家とは株式会社のように権利を分割所有するシステムではなく、もっと高度に概念的な枠組みである。日本国籍保有者だけに日本という国家からの利益を分配したり、日本が解散する時に残余財産の分配を受けたりという約束にはなっていない。今でも日本は海外での開発援助や技術協力など様々な形で日本国籍を有してない人々のためにその経済力や技術力を使っている。日本という国家が、日本人だけに利益を与えるという考えは国家主義と父権主義が幼児性を持って結びつけられた醜い願望であって、日本国籍は日本を形作る主な人々ではあっても、全てではないしそのような事はあり得ない。

二重国籍だからとスパイ容疑をかける人々は、民間外交で友好的に接してくれる外国人の人々をはなからスパイだと思って見ているのだろうか。どうして他国を、それも隣国を敵国と思わなければいけないのだろうか。私はその敵を作る発想が誰の利益になるのかを考えたい。結局は兵器を扱う死の商人と、権力を握り続けたい権力者だろう。彼らの利益のために差別意識を受け付けられた人々には少し同情してしまうが、何としても自らの判断でその差別意識を捨て、正い判断をしてくれるように望む。