全ての差別の止揚と克服を

公正な社会を望んでいます

新宿駅南口の焼身自殺(未遂)事件に関する感想

自死は正しくないし美しくもない。
しかし、命を捨ててまで何かを成し遂げたいと願う事には美しさが宿る。

幸いにして今回焼身自殺を図った男性は命に別状がないという。

今回の事件に関して、twitterなどの反応を見るに敬意の欠片も感じられないものが数多く見受けられた。
まるで報道機関になったように無遠慮な写真を撮影し公開する事、浅薄な批評を加える事、笑いを誘うように揶揄する事。
これらは彼の意図や意思を酌む事をせず、単に狭いコミュニティ内での話題として消費する行為である。そこに敬意は無い。

私達は他者に対し、基本的には敬意を払って関係するべきである。
他者は他者であるだけで、尊重すべき価値ある存在である。

なぜ多くの傍観者に彼の必死さは伝わらないのだろうか。
それは本来受け手であるはずの大衆が、ほとんど傍観者、情報の消費者になってしまったからではないか。
もしかすると、数十年昔でも傍観者や消費者の割合は今と変わらずいたのかもしれない。
しかし現代においては傍観者/消費者もインターネットを使い、無思慮で無遠慮な言葉を発信してしまっている。
それは事態が深刻であればあるほど、対照性が強調されグロテスクに感じさせる。

私達は「人に迷惑をかけてはいけません」と躾られ教育されてきた。
故に焼身自殺の現場にあってさえ、迷惑だと非難する人がいる。

人間は誰にも迷惑をかけずに生きて死ぬ事が出来ぬ以上、迷惑はかけてもいい。
しかし、特に迷惑を被った時こそ他者への敬意と関心を失ってはならない。
迷惑をかける人には、必ずそれなりの理由があり、その理由が理解されなけれれば迷惑は迷惑のままでしかない。

改めて全ての他者はそれぞれの思想を抱き、正義を信じ、誰かを愛している事を思い出すべきだろう。それを想像し、尊重しつつ関係する事が正しい社会のあり方だと私は信じる。