全ての差別の止揚と克服を

公正な社会を望んでいます

「ななまがり」というお笑い芸人のネタは差別を助長するのではと懸念する。

私は普段はテレビを見ないが、先日親類の家でたまたま見た番組に非常に驚いた。
テレビ朝日系列の「日曜もアメトーク」という雨上がり決死隊が司会をしてお笑い芸人が多数出演するバラエティー番組だ。
その番組に若手芸人にパフォーマンスをさせて、それをベテランが真似るというコーナーがある。そこに若手芸人として出演した「ななまがり」という二人組のパフォーマンスが非常に不愉快だった。
内容は「キモおにいさん」というキャラクターがキモイ、つまり気持ち悪いとか気色悪いとか、生理的に受け付けないというネガティブな感覚を笑うという趣旨だ。気持ち悪いという感覚を抱くのは反射的なものであって誰も非難できないが、それを自覚的に表現するのには慎重であるべきだし、当人に直接的に伝えるのはできる限り避けるべきであると考える。多くの場合、気持ち悪いと伝えられた当人は深く傷つくからだ。そして気持ち悪いと感じさせた対象を笑うという行為は、失礼を通り過ぎて侮辱であり、暴力ですらある。それをテレビを通して何百万、何千万という人に対して見せる感覚に全く共感できず嫌悪感を覚える。
特に深刻なのが、彼らが嘲笑の対象にしている「キモお兄さん」というキャラクターが、男性に恋愛対象を抱く男性、しかも小学生高学年あたりの少年を想定してあるところだ。思春期に自らの性的志向を自覚し思い悩んだホモセクシャルの人々も多くいると思われるし、現在進行形でそのような境遇にある少年や少女も一人や二人ではないはずである。しかしその番組では、まるで彼らを「キモイ」と笑うのが当たり前であるような風潮を積極的に作っているようで制作に関わった人々の良識を疑うし、軽蔑さえする。
どうしてこのような番組が問題にならないのか不思議である。LGBTの人権を擁護する活動をされている人々がどのような感想をお持ちなのかぜひ伺いたいと思う。