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全ての差別の止揚と克服を

公正な社会を望んでいます

安保法案の成立を喜ぶ人がいるのはなぜなのか

結論から言えば、勝ち馬に乗る優越感だろう。

かつてはプロ野球12球団の中で読売ジャイアンツが次点以下を引き離し圧倒的な人気を誇っていた。
豊富な資金力によるスター選手の起用と、日本テレビ、読売新聞、スポーツ報知による圧倒的な露出量が全国的な球団への親しみを生んでいた。そして何より巨人軍は平均して最も勝率の高い球団であり、見知った選手が活躍し、親しみある球団が勝利する快感を毎日のように感じる事ができた。この身内が勝利する快感が、スポーツ観戦の肝だろう。

さて安保法案である。
民主党政権が倒れてからの自民党は強い。旧来の組織票以外にもいわゆるネトウヨと呼ばれる比較的若い保守層から相当の支持と票を集めている。彼ら若年保守層はロストジェネレーションと呼ばれる年代から選挙権を持たない中高生までそれなりの幅を持って存在している。彼らに共通するのは成長や成功から社会的に遠ざけられた世代と言えるだろう。資本主義の爛熟と経済のグローバル化によって、一部のエリート以外は親の世代以下の生活から一生抜け出せないような見通しになってしまっている。その希望の無さが彼らを自民党支持に向かわせているのではないだろうか。下野して以降の自民党は保守色を強め、中韓との対決姿勢を隠さず強い国家モデルを提示する。若年保守層にとって、今の自民党は前時代の巨人軍のような、スター選手が活躍する最強の政党なのだ。自民党はかつて不覚を取った民主党や、遠い過去にはライバルだった社民党や、悪の手先である共産党を民主的な選挙によってバッタバッタとなぎ倒してきた。それは支持者にとって相当に快感だったのではないだろうか。支持者にとっての自民党は、今の閉塞した日本を強く美しい国へと生まれ変わらせてくれる救世主のようにも見えているのかもしれない。

彼ら若年保守は純真ではある。しかし世界の複雑さを悩み抜く思考の体力に欠け、他者への想像力も無きに等しい。強さに憧れる気持ちは分かるが、強い自民党政権は、結果的に支持者の権利や安全をも奪おうとしている。それに気付く者の少なさに悲しい気持ちを覚える。
美しいものを求めるのは人間の根源的な欲求であり、自然な事だろう。しかし政治家の唱える美しい国が、本当に美しいのかよく考えてみて欲しいと思う。自分にとって美しいものが、普遍的に美しいものなのか考えてみて欲しいと思う。